放課後、一人で掃除をする亜由美の悪戦苦闘する姿があった。
純子たちは手伝うそぶりも見せず、窓際に固まって談笑している。
小さな体で机を運んだり、床を掃いたりする亜由美は時折手伝ってほしそうに純子たちをちらと見るのだが、純子はじめ誰も目を合わせようともしない。ましてや手伝おうと申し出るものもいないのだ。
(確かに昨日はサボってしまったかも知れないけど、まさか今日は一人で掃除させられるなんて)
割り切れない思いの亜由美である。せいぜい他のメンバーよりも少し多く働くくらいのペナルティーだと思っていたのだ。
一人で働いているので、額に汗がにじんでくる。
ふぅ、と息を吐きながら立ち働き、ようやく掃除が終わった亜由美の元に、純子が近づいてきた。
「お疲れ様。これで掃除は終了ね。疲れたでしょ」
と肩を叩いて労う。
「ええ、ちょっと疲れちゃった」
本心から言う亜由美だ。
そのとき、朱実が亜由美のそばに近寄り、クンクンと鼻を鳴らす仕草をし
「あゆちゃん、匂うんじゃない?昨日お風呂に入った?」
と思いがけないことを言う。
自分の体臭を指摘され、亜由美の頬が急速に紅くなる。
「はい、毎日ちゃんとお風呂に入ってます」
体臭が匂うなどと、そんなことを言われたのは始めてだ。この年頃の娘にとり、恥ずかしい指摘である。
しかし純子も近づいてきて亜由美の体を嗅ぐ仕草をし、
「ちょっと匂うかな。汗かいたせいじゃないの?」
と指摘する。
いつの間にかほかの皆も集まってきて、亜由美を取り囲む体制になっているのだ。
「大体厚着しすぎなんじゃないの?あゆちゃんは寒いところから来たから、東京の夏が蒸し暑いってわかんないんでしょ」
「うんいえてる。タンクトップなんて着てると、余計に汗かいちゃうわよ」
と亜由美の前から後ろから、隣から、指摘する。
「え、でも、純ちゃんも下着の線が見えるのは恥ずかしいって……」
やっとの思いで返す亜由美だが、正面から純子が亜由美の目を見ながら答える。
「そりゃ恥ずかしいし、男のいやらしい視線は嫌。でも、汗臭くなってまで、余計に一枚着たくはないなぁ」
朱実も合いの手を入れる。
「そうそう、そういえばなんか授業中からなんとなく臭うと思っていたら、あゆちゃんだったのかな?」
「やめなさいよ、悪いわよ」
制止する純子だが、亜由美を庇っているように見えて、実は亜由美の体臭を否定していないのは言われた当人の亜由美にとって痛いほど分かる。朱実と純子の会話が、余計に亜由美の羞恥心を刺激していった。
(まさか、自分が臭うだなんて考えてもいなかった。田舎ではそんなこといわれたことなかったのに。暑い東京で、タンクトップ着て汗かいたせいなのかな)
真っ赤になってもじもじしていた亜由美に対し
「いいから脱いじゃいなさいよ。女同士、恥ずかしいことないって。汗だくになったら気持ち悪いわよ」
純子が勧める。
周りの皆も、そうだ脱いじゃいな、とか、上着のすそをばたばたさせて、何も中に着ないほうが涼しくて気持ちいいよー、などと勧めていく。
(女同士だもんね、別に恥ずかしいことなんかないわ。体育の着替えと同じよ)
自分に言い聞かせながら、皆に勧められて引っ込みが付かない亜由美は、気が進まないながらも上着に手を掛けていくが、体育と違うのは、自分ひとりだけが脱ぐということだった。
脇のファスナーを上げ、セーラー服を脱ぐ。
白くて清潔そうなタンクトップ姿になった。中学生とは思えぬほどの豊満な乳房が突き上げている。
「うん、確かにこの方が涼しいね。早く掃除終わらせようよ」
恥ずかしさを隠すため、調子を合わせるように明るく亜由美が言う。
しかし誰も亜由美に答えずに、じっと亜由美を見ているのだ。
なにやら嫌な空気を感じて、亜由美は戸惑った。
「あゆちゃん。ここは学校よ、何ラフな服装してんのよ。脱いだほうがいいって言ったのは、タンクトップのことよ。それくらい一々言われないと分からないの?」
大げさにため息をついて、呆れたように純子が言うと、それを聞いた回りのメンバーからも失笑が漏れるのだ。
確かにそういわれてみるとそうかもしれない。学校では制服姿でいるべきだろう。お人よしな亜由美はそう考えて、タンクトップの裾に両手を掛けて、頭の上から引き抜いた。
亜由美の上半身は、その豊満な乳房を覆う、純白のフルカップの大きいサイズのブラジャー姿となった。
女同士とはいえやはり気恥ずかしい。すぐに上着を着ようとしたが、その前に朱実が思わぬ行動に出た。
「あゆちゃん、おっぱい天然なの?不自然にでかいんだけど」
といい、背後から亜由美のブラのホックを外したのだ。
突然ブラのホックを外され、驚いた亜由美はブラのカップを両手で押さえながら
「朱実さん何をするの、やめて」
と抗議した。
「悪気はないんだけどさあ、なんか小柄な割にはおっぱいばかりでかくてさぁ。上げ底ブラなんじゃないかなって、噂してたんだ。あ、私じゃなくて他の人たちがね」
寄せて上げるブラかどうかなんて、見れば分かるじゃない、と言おうとしたとき、今度は須美子と小太りで冴えない感じの昌子が亜由美の両サイドに回り、ブラのカップを覆う亜由美の手首を片方ずつ掴んで、強引に手を下げさせようとする。
「隠すところが怪しいな、ちょっと点検の必要あり、かな?」
などと笑う須美子に対し、必死に手を元の乳房の位置に戻そうとする亜由美だが、2人には叶わず、次第に両手を下に下げられていった。
そこで朱実がブラの紐を両肩から外す。そうしてもはや用をなさないブラジャーを須美子と昌子が腕の先から脱がして行った。
亜由美の中学生にしては豊かな乳房があらわになった。
Eカップくらいはあるだろうか。透き通るような白い肌に青い血管を浮かび上がらせた乳房、その頂にちょこんと小さなピンク色の乳首が載っている。
純子の口から、へえ、という感心とも呆れたとも取れる呟きが発せられた。
亜由美の方はいきなりクラスメートにブラジャーを脱がされ、両腕を拘束されているために乳房をさらされたままの姿で、恥ずかしさに身をよじっている。
「やめてください。何でこんなことをするの?純ちゃん、やめさせて」
亜由美が半泣きになりながら叫ぶが、純子は答えずに須美子からブラジャーを受け取ると、点検し始めた。
「寄せてあげて、って言うわけじゃなさそうね。それにその膨れた乳房見ると、上げ底ブラの疑惑は否定されたかな」
といいながら、亜由美から奪ったブラジャーを朱実に放る。
朱実は面白がって制服の上からブラを合わせてみて、これじゃぶかぶかだよと笑うのだ。
須美子と昌子に両手を拘束され、瑞々しい処女の乳房をむき出しのままでブラジャーをおもちゃにされている亜由美は、必死に抗議していた。
「もうやめてください。何でこんなことをされなくちゃいけないの?」
そんな亜由美の乳房を純子が興味津々と言う風に眺めている。
恥ずかしさのせいか、それとも外気に触れたせいか、綺麗なピンク色の乳首は縮こまっているかのようだ。
純子はいよいよ亜由美の見事な乳房に手を伸ばそうとしたが、ブラジャーで遊んでいた朱実が横から割り込んできた。
「ちょっと、おっぱい触らせてよ」
朱実が突然、亜由美の乳房を力強く掴んだ。
その途端、亜由美の頭の中が真っ白になり、火事場のバカ力とでもいうのだろうか、自分でも信じられない動きを見せた。
上半身裸の体を激しくくねらせると、背後で両手を拘束していた二人を振りほどいて自由になった手で、乳房を掴んだ朱実を突き飛ばしたのだ。
不意を食らった朱実は、モロに突き飛ばされて尻餅をついている。
「あー、いてー、なにすんのよ」
朱実が痛そうに尻をさすって立ち上がる。