その夜、純子は浴槽につかり、思い出し笑いをしていた。
放課後、純子は職員室に行き教科書を広げて数学の教師に質問をした。
数学を熱心にやる女子中学生なんてそういるものではない、優秀で熱心な純子を可愛がり、教師は熱心に教えてくれる。
ころあいを見計らい、亜由美のことを話題に出した。
「朝倉さんには負けたくないなぁ。朝倉さんとはいいお友達になったけれど、彼女もすごく出来るから」
教師はちらと不快な表情を浮かべる。
「そんなことないよ、純子の方がよほど優秀じゃないか。ま、最初は結構やるかなと思っていたんだが、今日なんて全然俺の解説を分からないんだもんな」
「うーん、東京に出てきて、結構楽しくて勉強する暇もないみたいですよ」
と純子は教師に毒を吹き込んでいく。
中学卒業までは地元にいなさいと言われたが、東京で遊びたいと無理やり姉についてきたとか、大人しく見えるけど中身は全然印象と違うのだとか。
「今日だって、黒いブラ着けてきたんですよ。いくらなんでも大胆よっていったら、そう、これくらい普通だっていうんだもん」
「そういやそうだったね。最初はそんな風に見えなかったんだけどね」
「大人しく見える人ほど、怖いんですよ。私なんて茶髪で軽そうだけど、中身はまじめでしょ」
「自分で言うかよ、おいおい」
「えー、ひどい。でも朝倉さんにはちゃんと注意しておきましたよ。ここは学校なんだから、あんまり変な下着着けてこないでって。本人も分かったって言ってくれたし」
教師はすっかり純子の言うことを信じたようだった。
しまいには友達の心配もいいが、自分も変な方向に引きずられないようにな、とアドバイスまでしてくれたのだ。
(ざまーみろ、亜由美。数学ナンバー1は私なんだよ。転校早々調子こいて私の分からない問題解きやがって)
そうして浴槽の中で、自分の小ぶりな乳房を揉んでみる。
「亜由美のおっぱい、なんであんなにでかいのかな。生意気なんだよ」
つぶやくと、浴槽を出てシャワーの栓をひねる。
勢い良く噴射するぬるま湯の温度のシャワーの先を股間に当てる。
「ああ、いい……」
純子の敏感な部分をシャワーの激流が襲い、体が火照りを感じ始める。
片手でシャワーを持ち、もう片手で乳房を揉みだす。
(亜由美のやつ、次はどうやっていじめてやろうか)
授業中に立たされたとき、スカートを床に落下させる。体操着を取り上げて、下着姿で体育に参加させる。
亜由美が羞恥に泣き顔を見せる様を想像しながら、純子は次第に絶頂へと自分を追い込んでいくのだった。
亜由美の学校生活は、純子によってコントロールされていった。
授業以外で教室を出るとき、たとえばトイレに行くときなどは純子の許可を得なくてはいけず、掃除の時間は相変わらずスカートを剥ぎ取られて、下半身パンティ一枚にされていた。一度体育で使うハーフパンツをスカートの下に穿いていたことがあったが、
「余計な手間かけさせんじゃねえよ」
とぽんと頭を叩かれただけで、やはりパンティ一枚に剥かれてしまった。
また、時々「命令」と称して難題を吹っかけられた。
もう帰ろうとして昇降口で靴を穿き替えているときなど、亜由美が気を抜いているときにフッと純子が現れて肩を叩く。
「明日は茶髪に染めて学校に来いよ、命令だよ」
などといわれたときは、亜由美は一晩中悩んだ。
香子に
「茶髪って今は普通らしいね。私もチャレンジしちゃおうかな」
と話を振ったが、
「なにバカなこと言ってんの」
とじろりと睨まれただけだった。
もっとも純子としては、亜由美が本当に茶髪にするなんて思っていない。
ただ、命令を気に病んで、苦悩しているであろう亜由美を想像して一人で悦に入ってるだけのことだ。
また、命令に従わないとして、罰を課すのも楽しみでもある。
翌日、普段どおりに濡れたような艶のある黒髪のまま怯えて登校した亜由美に、さっそく純子たちが食って掛かり、命令に従わなかった代償として、理科の時間にもし指名されたら立ち上がる際にスカートがずり落ちるようにしておけ、と命じた。
従わなければより酷い罰や、恥ずかしい写真ばら撒きの脅しが待っている。
スカートのホックを外してファスナーを開けた状態で授業に臨む亜由美に、狙い済ましたように理科の教師は教科書を読ませようとする。
お漏らししたパンティを乾かしていた一件以来、理科教師の亜由美を見る目は好奇心と好色さに満ちている。こいつなら亜由美を晒し者にする駒の一つに使えると、純子は睨んでいた。
(なんて運が悪いの)
と嘆く亜由美だが、何のことはない授業前に純子が、教師に亜由美に教科書を読ませれば面白いものが見られると吹き込んでいただけのことだ。
指名されてのろのろと立ち上がった亜由美の腰からスカートが足元にずり落ち、白地に水玉模様のパンティが剥き出しになる。
純子一派が笑いをこらえ、クラスメートたちは亜由美の恥ずかしい姿を見てひそひそ話をしたり、または見て見ぬ振りをしている。
教師は亜由美のスカートがずり落ちたことに気がついていないのか、手に持った教科書に目を落としている。いや、そう見えて教科書の縁からこそこそと亜由美の剥き出しのパンティ姿を眺めていた。
亜由美にとって気の遠くなるほど長い時間に感じられた教科書の音読、それがようやく終わると、教師は今気がついたように指摘する。
「あれ、朝倉。スカートが脱げてるじゃないか」
純子たちもわざとらしく続く。
「あ、ホントだ。気がつかなかったの?」
「間抜けねー、それとも見せびらかしたかったの?」
そしてクラス中がどっと沸く。その騒ぎを経てからようやく涙目の亜由美は紅潮した頬でスカートを床から拾い上げ、身にまとうのだった。
また、あるときは数学の時間に、前の席の生徒の乳房を後ろから鷲掴みにしろと命じられた。ためらう亜由美だが、早くしろとばかり後ろの純子が家庭科で使う待ち針で背中を突付く。
何度も突付かれ、しょうがなく亜由美は両手をターゲットの女生徒の乳房に回してぎゅっと掴んだ。
「キャーッ、何すんのよ」
乳房を掴まれた女生徒が亜由美の手を振り払い、後ろをむいて文句を言う。
声を聞きつけ、教師が亜由美の席までやってくる。
「先生、朝倉さんがいきなり私の胸を掴んだんです」
その生徒も亜由美が脅されてやっていることはわかっていたのだろう、しかし純子を非難することは出来ない。下手をすれば自分も亜由美と同じ境遇に落とされてしまうのだ。
「なに考えてんだ朝倉、少しはまじめに授業を受けろ」
亜由美の頭を平手で強く叩く。小テストをやればほぼ満点を取る亜由美が、授業中はまったく精彩を欠き、ろくに正解を答えられない。それどころかこのようにいたずらを仕掛ける。
(数学が得意だからと鼻にかけて、授業を適当に受けるとは)
最初は亜由美に対し清純そうで真面目で出来が良い転校生、というイメージを持っていただけに、今は逆に亜由美に対して不信感を抱いていた。
「朝倉、お前邪魔だから廊下に立ってろ。どうせやる気ないんだろ?」
教師に怒鳴られて、力なく亜由美は廊下に向かう。
その様子をほくそえんで見ている純子であった。